ゆっくりでも止まらなければけっこう進む
Posted by watari - 2014.11.30,Sun
『はやぶさ2の真実』読了。【☆☆☆☆☆】
副題は「どうなる日本の宇宙探査」著者は松浦晋也氏。
本日、打ち上げ予定であったはやぶさ2。昨日の段階で12月1日に打ち上げが延期されて、本日のちょっと前に12月3日に再延期になった。とにかく12月9日までのウィンドウ内で無事に上がって欲しい。
今からほぼ2年前。
はやぶさ2は実現可能かギリギリのタイミングでありました。あわや計画中止という可能性さえありました。川口先生が草の根であっても応援が欲しいという激文を出すという異常事態。
その際、この本の著者である松浦氏がニコニコ動画で激を飛ばされて、私もそれに触発されて、草の根の1人としてパブリックコメントを内閣府に出してみたり、とバタバタしたのが思い出されます。
なぜ初代はやぶさが帰還し、大衆を熱狂させたタイミングにも関わらず、はやぶさ2に予算が付かない事態になったのか?
当時の松浦氏のニコニコ動画では匂わせる程度でハッキリとは言わなかったことがこの本に書かれています。このはやぶさ2の打ち上げのタイミングでありながら、この本では、はやぶさ2の帰還(2020年)の先のことを考えるべきだと強く訴えます。松浦氏らしく、そしてそのことは他の誰にも書けない重要なことだと感じました。
とにかく冷静な文体でありながらも底から這い上がるような熱があり、読んでいて熱くなります。イッキ読みでした。
文頭にこうあります。
-寒い中をバイクに乗ってまで相模原へ。一体何が、これほどまでに自分を駆り立てるのだろう。そう自分に問うた。これはもはや興味などというものではない。血のたぎりだ。はやぶさの何が、私の血をたぎらせているかな。-
-突如として私は、自分の血管の中で躍っている衝動の本質を理解した。「そうか、未知の世界に分け入るということは、こういうことなんだ」未知の世界に分け入り、誰も見たことがない風景を見ること。そのこと自体が本質として、背筋をふるえさせ、後頭部をしびれさせ、そして何より血をたぎらせるのだ。そう私は理解した。それは不快な感覚ではなかった。むしろ圧倒的な快感だった。-
初代はやぶさ帰還で万歳三唱、めでたしめでたしでおしまい。。。としてしまったら得られた技術もノウハウも途絶し、消えてしまう。ひとたび技術開発を進めたら、歩みを止めれば後ろから追いかけてくる奴に蹴り落とされる。計画的に探査を続け、技術と人材を蓄積していかなければいけないのです。
これからの宇宙大航海時代の先駆けとしての初代はやぶさの姿を歴史に残すためにも、ゆっくりとでも静々と足を止めてはいけない。そう「ゆっくりでも止まらなければけっこう進む」はずだ。
他にも印象が強く、そして興味深い文章について自分用にメモをしておきます。
・初代はやぶさではパラボラ型の高利得アンテナ1基。はやぶさ2では平面型高利得アンテナ2基装備となった。アンテナがふたつになったのは、通信に使用する電波周波数が8~12GHzのXバンドから、Xバンドと27~40GHzのKaバンドのふたつの周波数帯に変更された。
・日本はKaバンドで双方向通信できる地上局を保有していない。
本日、打ち上げ予定であったはやぶさ2。昨日の段階で12月1日に打ち上げが延期されて、本日のちょっと前に12月3日に再延期になった。とにかく12月9日までのウィンドウ内で無事に上がって欲しい。
今からほぼ2年前。
はやぶさ2は実現可能かギリギリのタイミングでありました。あわや計画中止という可能性さえありました。川口先生が草の根であっても応援が欲しいという激文を出すという異常事態。
その際、この本の著者である松浦氏がニコニコ動画で激を飛ばされて、私もそれに触発されて、草の根の1人としてパブリックコメントを内閣府に出してみたり、とバタバタしたのが思い出されます。
なぜ初代はやぶさが帰還し、大衆を熱狂させたタイミングにも関わらず、はやぶさ2に予算が付かない事態になったのか?
当時の松浦氏のニコニコ動画では匂わせる程度でハッキリとは言わなかったことがこの本に書かれています。このはやぶさ2の打ち上げのタイミングでありながら、この本では、はやぶさ2の帰還(2020年)の先のことを考えるべきだと強く訴えます。松浦氏らしく、そしてそのことは他の誰にも書けない重要なことだと感じました。
とにかく冷静な文体でありながらも底から這い上がるような熱があり、読んでいて熱くなります。イッキ読みでした。
文頭にこうあります。
-寒い中をバイクに乗ってまで相模原へ。一体何が、これほどまでに自分を駆り立てるのだろう。そう自分に問うた。これはもはや興味などというものではない。血のたぎりだ。はやぶさの何が、私の血をたぎらせているかな。-
-突如として私は、自分の血管の中で躍っている衝動の本質を理解した。「そうか、未知の世界に分け入るということは、こういうことなんだ」未知の世界に分け入り、誰も見たことがない風景を見ること。そのこと自体が本質として、背筋をふるえさせ、後頭部をしびれさせ、そして何より血をたぎらせるのだ。そう私は理解した。それは不快な感覚ではなかった。むしろ圧倒的な快感だった。-
初代はやぶさ帰還で万歳三唱、めでたしめでたしでおしまい。。。としてしまったら得られた技術もノウハウも途絶し、消えてしまう。ひとたび技術開発を進めたら、歩みを止めれば後ろから追いかけてくる奴に蹴り落とされる。計画的に探査を続け、技術と人材を蓄積していかなければいけないのです。
これからの宇宙大航海時代の先駆けとしての初代はやぶさの姿を歴史に残すためにも、ゆっくりとでも静々と足を止めてはいけない。そう「ゆっくりでも止まらなければけっこう進む」はずだ。
他にも印象が強く、そして興味深い文章について自分用にメモをしておきます。
・初代はやぶさではパラボラ型の高利得アンテナ1基。はやぶさ2では平面型高利得アンテナ2基装備となった。アンテナがふたつになったのは、通信に使用する電波周波数が8~12GHzのXバンドから、Xバンドと27~40GHzのKaバンドのふたつの周波数帯に変更された。
・日本はKaバンドで双方向通信できる地上局を保有していない。
→はやぶさ2ならぬ、うすだ2も必要ということ。草の根頑張る。
・リアクションホイールは初代はやぶさ3基から、4基に変更となった。もっとも重要なZ軸を2基としている。
・1999Ju3では水のような揮発性の物質を含んでいる可能性がある。・・・サンプル室を密閉するためのパッキンは、初代はやぶさの樹脂製から、はやぶさ2では金属製のメタルパッキンに変更した。樹脂製のパッキンは揮発性物質を透過してしまうからだ。
・初代はやぶさは550kg。はやぶさ2は600kg。軽自動車一台に及ばない600
・リアクションホイールは初代はやぶさ3基から、4基に変更となった。もっとも重要なZ軸を2基としている。
・1999Ju3では水のような揮発性の物質を含んでいる可能性がある。・・・サンプル室を密閉するためのパッキンは、初代はやぶさの樹脂製から、はやぶさ2では金属製のメタルパッキンに変更した。樹脂製のパッキンは揮発性物質を透過してしまうからだ。
・初代はやぶさは550kg。はやぶさ2は600kg。軽自動車一台に及ばない600
kgの質量の中に詰め込めるだけ詰め込んだ高密度システムなのだ。
・イカルスが成功を収めた後で、喜ぶ若手研究者、技術者たちを前に「いつもこんなにうまくいくと思ってはいけない」と説教をした。
是非とも「初代はやぶさ」や「はやぶさ2」に興味のある方。購入して読んでもらいたい。そこらにあるはやぶさ本とはちょっと違う松浦氏の手厳しい、そして愛に溢れ、熱量の高い文章を今後も期待したい。
・イカルスが成功を収めた後で、喜ぶ若手研究者、技術者たちを前に「いつもこんなにうまくいくと思ってはいけない」と説教をした。
是非とも「初代はやぶさ」や「はやぶさ2」に興味のある方。購入して読んでもらいたい。そこらにあるはやぶさ本とはちょっと違う松浦氏の手厳しい、そして愛に溢れ、熱量の高い文章を今後も期待したい。
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