「カシュー網目模様」というのは先回アップした「変わり塗り 簡単な方法」のこと。
思いのほか面白がってもらったようなので、調子に乗って1ヶ月弱の試行錯誤の結果であるノウハウ&エラー情報を公開。
この方法で何か塗ってみようかと思う方は、せっかくなので最短ルートでトライしてみてください。技術はいろいろな人の発想があって進展するものと思っています。現時点、まだ完成形には程遠いものですので、このノウハウ&エラーをひとつの方法の例として色々な方法を試してみるのも面白いかもしれません。
というわけで、ノウハウ&エラーです。
●「カシュー網目模様」の利点・欠点
利点・・・変わり塗りより手軽で完成が早い(週1回作業で2ヶ月→2週間)
網目模様の作製には偶然性に頼るが、その網目を自ら選択できるので結果が想像しやすい
欠点・・・普通の筆塗りよりは面倒
広い面積に貼り付けるのは面倒なため、管釣りルアーくらいの小物が現時点ではちょうど良い
ちゃんと手番を踏んだ変わり塗りと比較すると安っぽい。変わり塗りにある艶っぽさが無い。←現時点での一番の問題点
個人的には「和風である」ということ、「偶然性に頼る手法」ということの変わり塗りの雰囲気を残しながら、面白いカラーリングの可能性は秘めているような気がしています。
●網目の作り方 ノウハウ(まだトライ中)
綺麗な網目模様を作るのには、カシュー塗量の粘度が重要のようです。ですが、まだ確信できる粘度はわかりません。
また粘度とともに、剥離紙に塗る初期厚さも重要のようですが、これも試行錯誤中。乾燥時に網目になる微妙な加減が重要(らしい)。
いまのところ上手くいっているのは、この方法。(先日アップしたブログよりちょっと細かく説明)
①剥離紙にカシュー塗量を直接5mmほど落とし、専用うすめ液を1滴落としてサラサラにして、楊枝の横腹の部分を使って薄く伸ばす。
剥離紙は粘着テープやシールの台紙を使用。なんどか繰り返して使用することは可能です。専用薄め液は100円ショップで購入した化粧品入れに移し替えて使用しています。
②数分後(まだ具体的な数字は不明でいろいろトライ中)、乾燥して粘度が若干高くなったところで、もう一度、楊枝で薄く伸ばす。伸ばした直後は膜となっていますが、しばらくすると網目が出来る。
③半日後(膜厚によって異なるが、どのくらいが最適かまだ不明)、半乾燥したものをピンセットで拾って貼り付け
①だけで終わらせるとかなり大きめな模様。網目にはなりにくい。(左側の写真)
②をすると繊細な網目になる(右側の写真)だからといって、繊細だから良いとも限らないところが難しい。
●検討開始からの経緯、および失敗事例
A:
乾漆がヒントだったので、同じ発想からスタート。(左側の写真は乾漆を貼り付けたモノ。見た目がペレットっぽい)
カシュー塗料を剥離紙の上で固めて、固まった膜をハサミで細かく切って、貼り付けようとした。(右側の写真)だが、ハサミで切ったカタチに面白味がないうえにルアーに貼り付けるのが難しいのでやめた。
B:
乾燥後の膜に厚みがあるとハサミで切るしかなく、それが面倒なので、薄めに作って手でパリパリに砕いてカタチの面白味を得ようかと思ったが、想定より膜に弾性がありうまく砕けないので失敗。ただし、その際に偶然、網目模様ができた部分があったのでソレを生かそうと。
C:
偶然に出来た網目状のカシューを、量産しようと筆で剥離紙に塗ってみたが、なぜかうまくいかない。(粘度?)
チューブから塗料を剥離紙に5mmほど直接置いたあと、薄め液を1滴たらして楊枝で伸ばしたところ(上に書いた方法)でうまくいったため、それにて現在は実施。
通常、筆で塗るときによりも、かなり粘度は低い(サラサラ)
D:
楊枝で伸ばす理由は使い捨てができるから。楊枝は薄く延ばすのにラク。筆だと洗うのが面倒。
剥離紙に塗料を厚みをもたせて塗ってしまうと網が形成出来ずに左側の写真の上のような『膜』になって失敗。
E:
②の乾燥時間を長くして、楊枝で薄く伸ばすと粘度が高くなりすぎて網目にならなず『膜』になって失敗。
F:
③の乾燥具合も難しい。繊細な網目を作ると乾燥が早いため時間を置き過ぎるとパリパリに乾燥しすぎて、ルアーに貼り付けられないで失敗。
また乾燥していない状態だとピンセットで拾えないで切れる。適度に乾燥していないと駄目。
G:
Dにてパリパリに乾燥したものを貼り付けようとして、かなり薄めた本透明をルアーに塗った後に貼り付けたが、これが裏目。
パリパリに乾燥した網目カシューが薄め液を吸って反り返って失敗。
H:
Gの失敗から、ルアーに適度に薄めた本透明を塗ったのちに、ベタツキが残る程度に乾燥したものにパリパリに乾燥した網目模様を貼り付けたら、とりあえず張り付いた。Gのような反りはでなかったが、一部に浮きがでた。手直しは効きそうだが効率が悪いので、半乾燥状態で貼るのがラクっぽい。
I:
繊細な網目(左側)が良いかとトライしていたが、出来上がりをみると見た目がグッとこない。これならばもっと大きな模様(右側)のほうは味があった。このあたりは貼り付けるセンスというか、感覚なのかもしれないですが、模様の出し方に他にも検討が必要。
J:
最も大きな問題点。
最初にも書いたが、ちゃんと作った変わり塗り(左側の写真)と比較すると、今回の貼り付け式(右側の写真)はかなり安っぽく見えるということ。単品で見るにはそれほど悪くないが、比較して見ると、色の変わり目の微妙な感じは完全に見劣りする。そのため、この網目模様を山立て代わりにして、変わり塗りにするというのも方法もアリかも。
●最後に
とりあえず1ヶ月弱の試行錯誤はこんな感じ。たかが1ヶ月弱。されど1ヶ月弱。
もしなにかわからないことがあれば質問ください。
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