『歴史の中の日本』読了。【☆☆☆☆☆】
司馬遼太郎の本はやっぱりいいね。
読んでて楽しいし、タメになる、ような気がする。
気がしているだけで実生活に影響はないのだろうけど、でもそれでもまた読みたくなるのです。
今回の本はエッセイ。
様々な分野の話で非常に面白かったのだけど、なかでも今回なるほどと得心したことはふたつ。
その1
酒に酔えるものと酔えないものがいるように、イデオロギーに大酔できる人がいる。
それは時代によって様々に変化し、幕末の志士であったり、戦前右翼であったり、戦後左翼であったりするわけで内容は特に問題ではない。ただ酔える人がいるということ。
イデオロギー自体はただの幻想なはずなのに、それに酔えるということは特異な人間であり、極わずかしか存在しない特異な人間に、酔えない人間は罵倒され引き摺られ巻き込まれることが多々ある。
⇒確かに自分の発言に酔ってしまって、ちょっとミットモナイなぁという人がいますよね。それに釣られる人もわずかにいるわけで、あれが思想に酔うということだろうなぁとも思う。酔えない人間からすれば奇妙そのもの。
その2
竜馬の姉、乙女は乗馬や武芸が出来たという話であるし、千葉道場のさな子が剣術を修練していたという話もあるが、それがオカシイ、非常識だという文献は見当たらない。ということは江戸時代の女性というのは、抑圧された存在ではなく乗馬をやっても武芸をやってもおかしくなかったわけだ。女性はお淑やかに・・・、といわれたのは大戦前後からではないか?
⇒司馬作品の女性は良くも悪くも個性的であるけれど、江戸時代にはどーいった方がいたのだろうかと想像してしまう。いまの女性は強いというけれど、きっと女性が弱い時代なんてものはなかったのではと思う。
莫大な数量の読書と取材によって裏打ちされた考え方は、非常に説得力があり読んでいて気持ちが良いのです。この本はもう一度読んでみても良いかも。他にもいろいろと面白いエピソードがあった。どこかで見かけたら読んでみると面白いと思う。
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