『火星ノンストップ』

『火星ノンストップ』　読了。【☆☆☆☆☆】

表紙の絵と編◎山本弘という文字に惹かれて手に取った。山本弘さんは「と学会」会長ということで知られているが、私にとってはドラゴンランスの訳者という印象が強い。

この本は「ヴィンテージＳＦセレクション【胸躍る冒険】」ということで１９３０年代～１９６０年代にＳＦの本場アメリカで発表された作品７編が載せられている。もちろん私はどれも未読。作品はそれぞれ訳を新しくしているけど、名作と言われるもの。

まず思ったことは、作品の中には約６０年以上前の作品でありながら、当たり前だけどちゃんとしたＳＦ小説として読めるということ。きっと今の作品にもさまざまな影響を与えた名作なのだろうということがよくわかる。なんだかイキオイが違う。いまでは技術的には否定されたことが書かれていたりすることは愛嬌でそれはそれで面白い。楽しくイッキに読ませてもらった。

なかでも表題作の「火星ノンストップ」（６６年前の作品）は私はけっこう好き。破天荒すぎて今書かれたら「とんでも本」になってしまうかもしれないけど、６６年前の作品とは思えないほどの完成度があると思う。こんな本が昔からあったんだな～と思うと感慨深い。私が読んだ作品の中で、どの作品が６０年後に残っているのだろう。６０年後は私は生きていないだろうけど。