『硫黄島に死す』

『硫黄島に死す』読了。【☆☆☆☆】

表題作はロサンゼルスオリンピックの馬術競技で金メダルを取った西少佐の生き様が書かれています。同じ硫黄島で玉砕した栗林中将の「散るぞ悲しき」は未読ですが、こちらも読んでみたい作品です。

他の短編も含めて司馬遼太郎氏の書くような戦争の高揚感のようなものとは異なり、息苦しく重い閉塞感のある戦争が表現されているように思いました。城山氏の戦争体験からくるリアルさなのでしょう。

印象に残ったのは作品は「草原の敵」。戦争は偉人だけではなく名もなき数多の人々がおこなうという当然のことが書かれていたことに心が動きました。