会場の新宿ロフトワンには初めて行きましたが、なかなかアングラな雰囲気。
親切な常連さんにお話を聞いたところ、かなりの超満員とのこと。さすがはやぶさ。いつもならば机があるとのことでしたが、完全撤去して客を押し込んでたみたい。150人近く入ってたかな?話題にも出てたけど火事注意。
さて、本題。
ロケットまつりでは、お客もゲストもお酒を飲まれることが多いようですが、そのゲストの中でも川口教授は最速ペースで飲んでおられたようです。最後のほうは、ちょっと口が回らない感じになっていて、いくつか本音もありまして通常の講演会とは違う話で非常に面白かったです。
ちなみに細かな話に突っ込んでしまったようで「はやぶさ打ち上げ&運用&帰還」の最も重要な話までいかなかった。次回もやるようですので次回に期待。
そのなかで印象に残ったフレーズを順不同でいくつか。
・大学4年のときの専攻はロボット工学。
宇宙関連の先行きが見えないなか、宇宙に進学を決めた。
・ハレー彗星探査(すいせい)については、ロケットと64mアンテナを作りたかった為。
といっても言い過ぎではない。
・的川たばこ40本事件については、なにをいまさらな感じ。30年前のこと。
・「科学的意義」を前提としてしまうと「落としどころ」がなくなる。
つまり「ルナA」となってしまう。
・「ひてん」でおこなった世界初のエアロブレーキングは打ち上げの2~3ヶ月前に川口教授自身が言い出した。いつくか直前に耐熱材料を変えたとのこと。学会で世界初として報告したときは、非常に誇らしかった。
・「ひてん」のスイングバイは思い出深い。
・直線で行けるのは格好良いけど無人探査機はいそぐ必要はない。
・はやぶさをやろうと思ったのはアメリカとの小惑星ランデブーの打ち合わせでアメリカが実際におこなうとわかったから。そのため癪にさわったから根拠がない(いわゆる勧進帳)けど、小惑星サンプルリターンを発表した。アメリカは「そんなことできるか」と思ったに違いない。日本に帰ってきてから急速に考えてた。
・イオンエンジンは惑星探査に向いている。向かうまでの電力をイオンエンジンに使い、到着したら観測機に電力を向けるため。
・日本のイオンエンジンはプラズマの効率は悪い。だが、寿命は長い。
・M-3SII 8号機の失敗は予想外だけに堪えた。
どこまでやれば大丈夫なのかフィードバックが重要。
・ミスをどのように見抜くのかが。失敗から初めて見極めができるようになる。
成功体験はあてにならない。失敗からではなく、教育できれば良いのであるが。
・小惑星サンプルリターン計画はNASAは追ってこないと思った。なぜなら無茶だから。当初搭載予定であったNASAローバーの取り下げは「どーせ着きっこないから」と思ったからでは?
・はやぶさ計画の当初はイオンエンジンだけでなく帰還用の低推力のロケットを積む予定であった。高推力だと太陽パネルがもげる。
・はやぶさ計画のスタートは、一番年齢が高い川口教授自身も40歳。非常に若いプロジェクトであった。ちなみにイカロスはリーダーが36歳。
・スイングバイは非常に高性能な5段目のロケット。
・イオンエンジンAは結果的にはチューニング不足。非常に高度なノウハウ蓄積ができた。
・レーザー高度計は温度サイクルをかけると精度がでなくなった。そのため、これだけ温調をかけて温存した。イトカワ着陸のときは、全く使えると思っていなかったが上手く作動して驚いた。
・日本の宇宙工学は熱設計は全く出来ていない。
・通信系はアメリカと比較して50年以上は技術が遅れている。はやぶさは深宇宙を探査しているという顔をしているがアメリカが作れば15センチ?くらいのアンテナの大きさ出来るばず。
・通信系が遅れている理由は、日本は予算の都合で10年に一度しか機会がないから。問題はノイズと信号の区別。ローノイズアンプは日本では作られていない。なぜなら10年に一度しか使わないから。
・「はやぶさ2」は初めてサイエンスをやる探査機。
はやぶさで得られたノウハウなど変更箇所は山ほどある。
・小惑星に2度目に行くのではない。小惑星にも種類がたくさんある。
・イカロスはダミーウェイト代わりに載せられることになった。予算ははやぶさの1/10。だが、ダミーウェイト代わりということもあり軽量化設計はまだまだ甘い。
最後に川口教授の印象。
話の中で川口教授の粘り強さ、頑固さ、意地っ張りなところ、全てのことを諦めない意思を強く感じました。これは「はやぶさ運用」にも強く感じたこと。
これは青森出身の川口教授の東北人特有のことかもしれません。直接、話を聞いてみて強く感じました。次回もしやるようならば、はやぶさ運用の話、そして帰還の話が聞きたいと思っています。
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