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Posted by watari - 2005.12.23,Fri
『『大地の子』と私』 読了。【☆☆☆☆☆】


「大地の子」はNHKでチラッと見たことあるけど、元本の「大地の子」自体読んでなかったりする。というより山崎豊子を読んだことなかった。本読みとしては外せない作家さんだということもわかっているし、絶対に読んでみたら良いということは今までの作品群の実績からいってわかっているけれど、なかなか手に取れない。根強い人気があるからだと思うけどブックオフに置いてない(もしくは全巻揃ってない)から。図書館で借りるにはスケールが大きいから時間が足りなそうだし・・・というわけでまったく未読。


読んでみて思ったことは、山崎さんの取材の凄まじさ、細やかさということだろう。中国と言う情報閉鎖国家の中で3年間もの長期間取材を続け、執筆には8年掛かったそうだ。想像を絶する。ここまでやるからこそ様々な重厚な作品が出来るのだろう。


それともうひとつ。中国で取材をするということは大変難しいということらしいのだが、その垣根を取り払ってくれた当時中国の最高責任者の総書記であった胡耀邦氏の存在だ。「大地の子」第3部執筆中に亡くなってしまったが彼の存在がなければ「大地の子」が完成しなかったという山崎さんの言葉は確かにその通りなのだと思う。また山崎さんの胡耀邦氏や中国に対する尊敬と敬愛があったからこそ中国での取材が認められたのだろう。


この中国の中でも民主的な存在であった胡耀邦氏の取材に対する協力のあったおかげで「大地の子」が出来たということはよくわかった。この「『大地の子』と私」という本はきっと胡耀邦氏や中国との関係を書き残しておきたくて書かれたのだろう。小説を書くということは肉体や精神を削りながらの凄まじい作業なんだなということがよくわかる一冊だった。


ちなみに山崎さんは中国残留孤児に対しての財団を私財で作られたそうだ。また「大地の子」等の3作品のの著作権を寄付したそうだ。生半可な作家じゃないね。


「大地の子」に限らず山崎豊子作品を是非読んでみたいと改めて思っております。

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