『宇宙は何でできているのか』

『宇宙は何でできているのか　素粒子物理学で解く宇宙の謎』読了。【☆☆☆☆☆】

 

村山斉氏の本。

東京大学の数物連携宇宙研究機構（IPMU）の機構長。

長い名前だけど、要するに数学と物理学の連携により宇宙への根源的な疑問に答えるために設立された国際的研究機関のトップ。専門は素粒子物理学。

 

いま現在の科学が宇宙についてわかっていることと、わからないことを、知識の無い私にもわかるように、ものすごく丁寧に書かれています。それがまた面白くて、読み進むのが早かった。素粒子については興味があったんだけど、まったくわかってなくて今回読んでみて、ちょっとだけ雰囲気を感じることができたかな、という感じ。ちなみに、１回読んだだけでもわかったつもりにもなれない。でも、それが世界の最先端。簡単に理解できるハズもない。

 

宇宙が何で出来ているのか？

宇宙は始まり、そして終わりはどうなるのか？

宇宙を支配する法則は何なのか？

 

人類共通の疑問を解くために様々な科学者が最先端を研究されています。直近では特に役に立つことはないという人はいるかもしれませんが、私は知りたいなぁと思っています。

 

私の記憶では高校時代の２０世紀の終わりでは全ての物質は原子から出来ていると聞いた記憶があります。だれど、実は原子にも構造があり、原子核と電子があり、原子核は陽子と中性子で成り立っており、陽子や中性子はクォークという素粒子の組み合わせが出来ているとのこと。本当に最近わかってきたことなんだなぁということもわかった。宇宙について研究することと、素粒子について研究することというのは非常に似ているそうです。ビッグバンでは素粒子が結合することで宇宙が進んできた。

 

日本のノーベル賞も素粒子関係は非常に多い。

小林－益川理論のＣｐ対称性の破れも素粒子の研究だし、小柴先生がカミオカンデでニュートリノも素粒子の一種。南部先生の超ひも理論ってのも素粒子を説明するために必要だそうだ。日本人初めてのノーベル賞の湯川秀樹氏も理論的に中間子（素粒子の一種）を予言したことだったから、素粒子物理学は日本人の活躍が目立つ。やはりこれは湯川氏が先陣を切ったというのが大きかったのかな？

 

先日ニュースにもなった神の粒子のヒッグス粒子が発見されたというのも素粒子。ここ数年レベルで相当わかってきたらしく、またそのうえでわからないことをわかってきた、とのこと。

 

わからないことというのは、宇宙の大半の重量を持っているというダークマター（暗黒物質）そしてダークエネルギー（暗黒エネルギー）。それに反物質。どれもこれもナニがナニやらわからないらしい。あとは４つの力（重力・電磁力・強い力・弱い力）の大統一理論。これは、きっと私が生きているうちは難しいかも。

 

科学は理論と実験を繰り返して進んでいきますが、その科学の歴史も学べて非常に楽しかった。

 

ただ当たり前だけど、「詳しい説明は省いて○○ってことにしておいて」という説明が多い。詳しく説明されても全くわからないし、文中にもあまり真剣に考えると気持ち悪くなるので止めましょう、なんてことまで書いてあったりする。

 

でも、気持ち悪くなるくらいわからない世界があるというのは、なんだか楽しくなってくる。長生きすると知らないことも知ることができるかもしれないと思うと養生して長生きしないといけないなぁ、と思ってしまいました。