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Posted by watari - 2015.02.07,Sat
『小惑星探査機「はやぶさ2」の挑戦』読了。【☆☆☆☆☆】

著者は先日のロケットまつりでも出ておられた松浦晋也氏。

今回、松浦氏ははやぶさ2の打ち上げのタイミングで本を2冊出されています。今までの深く鋭い取材の結果がしっかりと出てきていて、個人的には非常にうれしい。

この本ははや2の当事者たちのインタビュー集となっており、同じコンセプトでは山根氏も出版していますが、内容の濃さも熱意も段違いにこちらのほうが個人的にはおすすめ。ただし、マニアックすぎる可能性はありますが、一般者は山根氏のほうが良い可能性もあります。

このはやぶさ2。

実は打ち上げる前に様々な紆余曲折があった、と言われています。

松浦氏曰く「切れすぎるほどに切れる頭脳と、尋常ならざる粘り腰を兼ね備えた川口教授が諦めることなく奮闘した結果、今私たちははやぶさ2の旅立ちを見送ることができた」とプロローグで書いています。

なにが紆余曲折あったのか。何が問題だったのか。ということがこの本にはまとめられていて、そこには今後の日本の宇宙計画の大いなる問題点がなんとなくわかってきます。

いくつか問題点があったうちで、非常にわかりにくい点がありました。

はやぶさ2が、サイエンティスト(理学系研究者)から意義を疑われて、行く必要があるのか?と問われているという話がありました。宇宙探査は大きな税金を掛けていくということもあり、意義が問われるということはあるとは思いますが、はやぶさの成功が大きかった、からこそ厳しい問い(いわゆる嫉妬?)のような気がしてしまうくらい厳しい気がしました。

この件の当事者にあたる方々に対するインタビューで、率直で突っ込んだ話が書かれていますが、やはりそのあたりは個人的には腑に落ちるものではありませんでした。これは松浦氏自身も納得できていなそうな書きっぷりなので、もしかすると本人たちもわかっていないのかもしれません。

今回インタビューされているのは以下の10人となります。

①川口淳一郎 JAXA宇宙科学研究所教授 

御存知はやぶさプロジェクトマネージャー。
反骨の塊みたいな人で、このインタビューでもそれが現れています。日本の宇宙探査は工学が引っ張ってきたんだと。工学と理学は車の両輪であるけどその大きさは工学が大きいのだと。宇宙探査に関しては、工学がまわして、理学を連れていくのだと。個人的には川口先生にはJAXAの中で偉くなって欲しいのだけど、あまり突っ張るとえらくなれないんじゃないかなぁ。この文章は読み応えがありました。

今後の日本の宇宙政策については危ない状態にあると思っていて、外国から「日本でもそんなことができたんだね」と頭をなでられ、喜んでいるようなことでは駄目だと言っています。言葉がさすが強い。


②國中均 JAXA宇宙科学研究所教授 

今回のはやぶさ2プロジェクトマネージャー
印象的だったのは、イオンエンジンは有人惑星探査では使えないというコメント。そのときは違う研究が必要と言い切るのは研究者の冷静さを感じました。

③吉川真 JAXA宇宙科学研究所教准教授
はやぶさ2立ち上げ時のプロジェクトマネージャー
ある事情をもってプロマネを降りて、ミッションマネージャーへ。組織人としては仕方がないけれど、非常に切ない。ただ3番手に出てくるあたりが松浦氏の気遣いを感じる。吉川先生がいなかったらはやぶさ2はあがっていないのは間違いない。個人的には何度か講演も聴いているしこれからも応援していきたいと思ってます。

④渡邊誠一郎 名古屋大学教授
理学系トップのプログラムサイエンティスト。
実はこの方、はやぶさ2反対の急先鋒であったらしい。JAXAトップが荒業ではや2反対派のトップを頭に据えて他の反対派を押さえ込んだというもっぱらの噂。

この本で彼が話すはやぶさの行う観測を、小惑星探査だけでなく惑星科学にも裾野を広げるように活動していく、ということはわからないでもないが、日本の予算と人材で通用するのか?という点において疑問を多いに感じた。日本惑星協会という小さな村社会の保護と利益という観点ではない今後を望みたい。

⑤樋口清司 JAXA副理事長
⑥山浦雄一 JAXA理事
⑦水野貴秀 JAXA宇宙科学研究所教准教授 
⑧安部正真 JAXA宇宙科学研究所教准教授 
⑨佐伯孝尚 JAXA宇宙科学研究所所助教
⑩澤田弘祟 JAXA月・惑星探査プログラムグループ開発員

そのほかにはこんな方々⑤・⑥は理事の方で組織運用上の話。
⑦~⑩は機器の開発についてのお話。開発期間短かったからとんでもなく大変そうだったみたい。

ちなみに扉絵にはこんな文章が。

生みの苦しみ乗り越え、ついに旅立つ
たちはだかった壁とは・・・
初代の教訓は・・・
世界初に向けた装備とは・・・
これが当事者が語るはやぶさ2だ!

とりあえず、やはり日本の宇宙探査の方向性は模索状態でしっかりと決まっていないようです。工学が引っ張ってきたのは事実ながら、現時点では技術力の踊り場に来ていて、工学がどんな新しいことを切り開けば、新たな理学の展望が見えない状態。

方向性のひとつが川口先生が主導した1点突破式。今後、惑星有人探査が進むと予算規模が莫大過ぎて世界協力体制が組まれるとの予測の元に、日本独自の技術を磨き宇宙におけるイニシアティブの一部を握ろうという野心的な方向。

他の方向性としては防衛や情報衛星などの国防に関わるものもありますし、みちびきのような民業の方法もあります。このあたりは方向性を決めるのも非常に大事でありながら難しい舵取りとなりそうです。

川口先生も既に59歳。来年の実質定年を経て、数年はJAXAに残られるでしょうけど、はやぶさ2が帰還する予定の2020年では引退されているでしょう。

今後の探査については、この本の中では、矢野先生が主導されている木星の衛星からのサンプルリターンが実現するか?という話でしたが、どうやらスタートから帰還まで30年かかる壮大な話、らしい。そーなると私も寿命があるかどうか微妙な感じ。

とにかくはやぶさ2も含めて、実績と人材育成を続けていって宇宙関係を楽しく観戦できるよう頑張ってもらいたいと思っています。 
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