『カンブリア紀の怪物たち 進化はなぜ大爆発したか』読了。【☆☆☆☆】
昨年は「生物多様性の国際会議」があったり、多様性について話題になっていますが、その「生物多様性」が爆発したと言われるカンブリア紀についての本。
カンブリア紀に興味をもった初めてのキッカケは、高校の頃、新井素子の「あなたにここにいてほしい」の中に入った「ネプチューン」から。他愛も無い短編のようでいて個人的にはかなり怖いお話、という新井素子独特の作品でしたが、その舞台にカンブリア紀があったため。読んでから20年近く経っているのに記憶に残っているのだから、かなり強い本だった、ような気がします。
カンブリア紀に対して個人的に最も疑問だったのは、なぜカンブリア紀に多様性が爆発したのか?ということ。
このことに対しては、いくつか案があって
多様性が爆発した原因
・生物の基となるリンがその時代に爆発的に増えたから
・DNAのカタチ(重複化?)となったから
・陸地のカタチが変わったから
・捕食する動物(肉食動物)が増えたから、逃げる動物、殻を硬くして守る動物など多様化が進んだから
などとかいくつかあるそうですが、筆者はその条件が複合的に組み合わせである可能性もあるとのこと。最後の肉食動物が増えたというのは、生存競争が激化したということですね。カンブリア紀の代表的な動物は三葉虫ですが、その三葉虫には噛まれた後のある化石もあるようです。
ちなみに進化についてですが、先日スカパーをチャンネルしていたところ、無料放送中の放送大学にチャンネルが合いまして、そこで「生物の起源」について話をされていました。この本を読んでいる途中ということもあり、ちょっと見たのですが、その中で生物を司る条件というが4つあるとのことで、それが非常に面白くて見入ってしましました。
生物の条件
①自分と他を区別できる ⇒ 細胞膜
②自己を維持する ⇒ 代謝
③自分を複製して増える ⇒ 分割・生殖
④進化する ⇒ 複製の際のミス
このうちの④の『DNAの受け渡しにミスがないと生物は進化しない』ということが、非常に面白い。複製の際にミスをしないと生物は進化しないのだ。
『進化する』というのは、『環境が激変したときに生き残るために必要』であるということ。これって、「進化」と違うけど「成長」と置き換えてもシックリくる気がします。
個人としての人間も、団体としての組織もそーいうことがあるんじゃないかと思いました。ミスを減らす為にルーチン化、スタンダード化、もしくは官僚化することでミスが減り効率的にはなるかもしれないけど、環境が激変したときにミスをしない組織は生き残れないということ。ミスを積極的に励行するわけではないけれど、潜在的にミスが出来る個人(組織)でないと進化できずに環境変化に淘汰される可能性があるってことなんでしょうね。面白いことです。
但し、この本の本筋である、カンブリア紀の化石の話、カンブリア紀の生物の話は、不思議な話ではあったけど正直あまり興味が湧かず。。。
でも、生物の進化に思いを巡らす気分転換にはなりました。
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