『ロケット開発「失敗の条件」―技術と組織の未来像 』読了。【☆☆☆☆】
小惑星探査機はやぶさへの興味から三鷹でおこなわれたロケット祭に参加したのですが、はやぶさ帰還以前はロケットにほとんど興味はありませんでした。
ただロケット祭りでお会いした恒見さんや林さんのロケット開発の黎明期の話を聞いているうちに興味を持って、それから「昭和のロケット屋さん」などいくつか本を読んでいます。
今回は失敗の話。
エンジニアにとってはトラブルは勲章であり、失敗は進んでもしろというのは先日読んだ川口プロマネの本に書いてあったことですが、こちらでもやはりそのようなことが書かれています。失敗を繰り返してこそ、その想像力(技術力)の範囲が広がるのですが、一般的には失敗は無駄や駄目なこと、ヒドイ時は無能な証拠だと思われているのでしょう。
特に日本のメディアなどはロケットの失敗などを『○○億円がゴミに』など扇情的な見出しで書くことが多く、とても技術立国を目指そうとする国とは思えないと対談者から語られています。
個人的にも日本は技術立国ではないでは?と感じています。
言えるとすれば大量生産製造立国。もしくは土木立国。
あくまでも製造技術的なもの、もしくは税金が使われるような公共事業系の土木的なものはお金が回るので技術的に進んでいるかもしれませんが、総合的な技術立国とは言いがたいと考えています。もし技術立国であれば、技術屋の立場はもっと強くても良いと思うのです。
技術に関わらない人(新聞やメディア)ほど、「日本の技術力は世界一!!」であるとなぜか勘違いしていて、なにか失敗があると「日本の技術は地に落ちた」などと騒ぐ傾向がある気がします。
ちなみにこの本は2001年に書かれています。
これは、はやぶさ打ち上げの2年前、帰還の9年前になります。はやぶさは失敗に裏打ちされて成功したのだと思うのです。
失敗を繰り返したからこそ、頭と身体と心をえぐられるような失敗があってこそ、成功があると私は信じています。少なくとも技術的なことに関しては、一足飛びに成功を得ることは出来ないと思うのです。
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