『国産ロケットはなぜ墜ちるのか』読了。【☆☆☆☆☆】
松浦さんの本は2冊目。
本日NHKでやっていたNHKの「ワンダー×ワンダー」でやっていた日本国産ロケットの打ち上げ舞台裏を見たからというわけではありませんが、『恐るべき旅路 火星探査機「のぞみ」のたどった12年』の冷静で熱い筆に魅せられて、ちょっと前に読み終えました。この本もなかなか良かった。
書かれたのは2004年2月。実際にロケットが墜ちたのは2003年11月のHⅡAロケット6号機のこと。かなり早いペースで書かれていたことがわかります。
内容は国産ロケットは日本独自の開発をしているからこそ墜ちるのだということが趣旨。
じゃあ、いままでの成功率はどーして?というと、それまではアメリカの技術を移転していたから墜ちなかったということ。
どちらが良いかといえば、日本として考えればエンジニアとしては失敗をしても独自に開発することが望ましい、と思う。よくロケットが墜ちると「○○億が藻屑に」という表現をマスコミを中心にするけど、全くの無駄なんてことはない。
成功だけを望むならば成長はありえない。技術の蓄積(ノウハウ)は無駄なこと、失敗したという経験からこそ溜まるものだと個人的には思う。もちろん、それはテストや試験において全て現れてくれることが望ましいのはもちろんのこと。でも、試験だけではわからないことがあるということも事実。
ちなみにJAXA以前の日本の宇宙開発のこともわかりやすくてよかった。その時期の宇宙開発は良い意味でも悪い意味でもバラバラ。
官僚はそのバラバラを合わせて効率化させようとしたところ、開発の効率は落ちてしまったという。。。開発では当然のようにスピードと効率を求められるけど、それだけを最優先させた場合、開発の精度にガタが来るのは良く見ていますし体感もしています。
技術を継承する、継続的に成長させていくことは難しいことは実感としてわかりますが、それ以上に技術を廃れさせるのは簡単なんだなということがよくわかりました。
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