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ゆっくりでも止まらなければけっこう進む
Posted by - 2017.10.18,Wed
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Posted by watari - 2013.12.14,Sat
『日本型モノづくりの敗北 零戦・半導体・テレビ』読了。【☆☆☆☆☆】

まだ今年は終わってないけど、今年で一番かも。

「日本の技術力は世界一」とか「日本はものづくり大国」ということがマスコミやネットでよく語られますが、開発現場にいて世界中のメーカーと毎日殴り合いをしている我々からすれば、そんなことは出鱈目だと思っています。

もしいまの時代に日本は世界一の技術力を持っていると思っているエンジニアがいるならば、何もわかっていない、としか言いようがない。

技術力という言葉も胡散臭い。
そんな便利で単純な指標は世の中には転がってはいない。

この本にも語られていますが、技術には様々な種類のものがある。
性能が良いコト、不具合がないコト、寿命が長いコトは一般の方にもわかりやすいと思いますが、そのモノの作りやすさ、原材料費が安いコト、工程内不良が少ないコト、いくつかの製品で部品の共通化、標準化が図られているコトなど、それらを全てのトータルでコストを安く作ることも重要な技術力です。

また一般的に日本が不得意とすると言われる、世の中に求められているモノを短い時間で作るということだって技術です。

本書では、零戦・半導体・テレビなどある瞬間では世界一になったのに、時間経過してその座から陥落した理由について語られています。それらは共通して言えるのはパラダイムシフトが起こっているにも関わらず、変化に追従できずに適宜に似合ったタイミングでどんなモノが必要とされているのかわからずに落ちぶれてしまった、というようなことが描かれています。

ちなみに日本の技術の悪いところは全体最適が出来ずに局所最適化に走る傾向があるとのこと。またその瞬間の極限性能に走ってその後の展開性がないということ。

あああ、確かに。
いままでの私のやっていたことを思い出すとその傾向があるかも。私もこれから自覚して精進していかねば。


技術は日進月歩の世界です。

いまこの瞬間は世界一であっても、多少でも歩みを止めれば世界のドコかに追い抜かれる。ただし、技術は駆け上がるようには上がらない。ゆっくりとでも止まらずに歩むしかないのです。

またこの本の中にはイノベーションについても書かれています。
よく技術革新などと言われているけれど、これは非常に罪深い誤解です。全く異なる意味だと私も感じています。著者はだから日本初のイノベーションが起こらなくなったのでは?とまで言っています。

この本では「爆発的に普及した技術や製品」と定義しています。
なるほどなぁ、とは思いますが、個人的にはイノベーションは、「現状の破壊的革新」と感じています。既存の企業や技術があるところでは、イノベーションは悪、なのかもしれないのです。

いま世界的なイノベーションがリアルタイムで進んでいるものといえば、スマートフォンやタブレットだと思いますが、これはいままで日本各社で培ってきた様々な技術を世の中から駆逐しようとしています。


コンデジ、ビデオカメラ、カーナビ、またPCは完全に縮小市場となってしまって、磨かれた技術は多少部品等では役に立つかもしれませんが、今後は陳腐化してしまって、この先の未来はきっとありません。

パラダイムシフトによるイノベーションが起これば、技術はひっくり返ってしまうのです。世界一もヘッタクレもあったものではありません。

この本のなかで最も詳しく書かれているのは半導体について。

著者が元日立の技術者ということもあって、内実を含めてさまざまに面から書かれていて非常にわかりやすいです。転げ落ちていく瞬間に立ち会っただけあってリアル。

またサムスンの勃興についても考察していて、これも理解しやすいです。コラムと評して顧問団の話が描かれていたけど、名前を伏せるほど気を使う必要があることなのかな?何に怯えているのかはよくわからなかったけど。

なにしろ文章に気迫があり現場にいる臨場感がしっかりでていると感じました。

ちなみにDRAMを作っている人たちは作ろうとするとドガっと作って、値崩れを起こして過剰在庫が積み上がり、底無しの不況に突入する、ことを毎回やっているらしく、集団自殺しているんじゃないの?という文章が印象的でした。確かにそんな分野ありますよね。

あと不良ゼロ思想というのも、検査に次ぐ検査をしてコストが積み上がっていく元凶となるということ。不良ゼロ思想は東電の原発安全神話と同じで、所詮神話であることを自覚しなければ、無暗にコストがあがるだけと手厳しい。これは日本の消費者の国民性とも絡んでくる問題だと思います。アマゾンのカスタマーレビューでも、ヒドイコメントが多くてバカバカしくて見ていられません。

マーケッターも今度非常に重要なポジションとのこと。
良い製品を作れば、売れる!!なんて都合のよい時代ではありませんからね。

そのなかで最終章に書かれていてなるほど!と驚いたのは、日本の得意分野は「融合技術と模倣力」ということだから、そこで勝負をして巻き返せということ。昨今の新しい技術でイノベーションを起こしてどーのこーの云々とは全く異なる見方です。

確かに日本の文化や美術も「融合技術と模倣力」の道を歩んできました。融合技術はイノベーションとも相性が良いと思いますし、イノベーションの先駆けとなるイノベーターが勝者となる割合は低く、最終的に市場を席巻するのは模倣者の確率が高いとのこと。悪い提示ではないと感じました。

勝負事で勝つためには得意分野で勝負することが大事ですからね。

生物の進化と一緒で、生き残るには強くても知恵があっても駄目で、変化できるものだけが生き残れるのだなぁ、ということを強く感じました。ちなみに著者は、日本の再起には、「日本の技術は世界一」などという寝言を吐かず、負けたことを自覚したうえで日本人の得意分野で改めて勝負すべきという提言をしています。

この本を自費で買ってでも無理やりにでも読ませたい人が何人もいるけど、なんも反応がなかったら怖いからやらないでおきます。
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