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Posted by watari - 2013.06.30,Sun
『笑犬樓よりの眺望』読了。【☆☆☆☆☆】

筒井康隆氏エッセイ。
私の高校時代のアイドル。でも、久しく読んでなかった。
先日、「虚人たち」を購入して読んでみたところ、久しぶりすぎてアタマが付いていかない。

15の頃の私ならば、ガツガツと貪るように読んだであろう懐かしき文体なのだけど、カチコチに固まってしまった今の私の頭では全く通用しなかった。すでに私は前衛小説を読めない身体になってしまっていた。
 
これはリハビリが必要ということで先にこの本から読み始めた。かの有名な「断筆宣言」がラストになってしまう「噂の真相」で書かれていたエッセイのまとめである。
 
いつもながらの小気味の良い調子にドキドキしながら読み進める。いわゆる罵倒調のブログが昨今あるようだが、筒井氏の切れ味は10倍も20倍も上。比較のしようがないくらい。それでいて筒井氏の特徴である繊細さも時折見え隠れするのがファンとしてたまらない。ただ大雑把な罵倒ではガキの喧嘩になってしまう。筒井氏の力量のひとつ。
 
内容は84年から93年。
マスコミの話やら、その当時に出てきたであろう芸能リポーターの話。喫煙者差別について。いじめの構造。日航機墜落報道。宮崎勤のこと。部落解放同盟からの抗議。バブル崩壊により本が売れなくなって、年収がガタ落ちしたこと。その年収が落ちたことに税務署から査察がはいった。湾岸戦争のこと。天皇崩御のこと。そのときのマスコミの自粛について。
 
他にも当時話題になったことをトンデモない切れ味で語っておられる。
小説を批評家から酷評を受けた場合も、それに罵倒で答える。それが気持ちが良い。いまでもその言説は色褪せていないと思う。読んでみればわかる。
 
最後が断筆宣言。
日本てんかん協会から短編小説「無人警察」の内容について抗議を受け、そのうえで回収を匂わされたことからの断筆宣言。その当時も思ったものだが、圧倒的に筒井氏のほうが筋が通っている。いまでも明らかだと思う。かっこいいなぁ。
 
いまでは自主規制をおこなわないという覚書を取り交わしたうえで執筆再開しているが、たとえ数年であったとしても、この作家の筆を折ったことは日本文化にとって大きな損失だったと思う。
 
たたひとつ。
この筒井氏に問題があるとすれば、その攻撃性に感染性があること。私のような凡人は非常に影響をうけやすい。社会生活を平和に営む上ではなるべく影響はうけないように気をつけよう。
 
ちなみにやっと「虚人たち」を読み進めている。
なんとかアタマには入ってきてくれているようだ。
 
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