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ゆっくりでも止まらなければけっこう進む
Posted by - 2024.04.26,Fri
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Posted by watari - 2013.10.19,Sat
60回目のロケットまつり。
川口先生の第3回目。


前回から1年と9カ月とずいぶんと時間が空いてしまったけど、楽しみに待ってました!!ちゃんとやってくれるかちょっと心配になってましたけどね。

今回の進行役は松浦晋也氏と浅利義遠氏と今村勇輔氏の3人。

前回は会場に机が置いてあったのだけど、今回は第1回目と同じように机もなく椅子がミッチリ系。でも、第1回目ほどの人出じゃないのかな?相変わらず男性9割で女性1割。年齢層はちょっと高め。20代の方はホントにチラホラという感じ?

今回の整理番号は二桁前半でしたが、上手い具合にかなり良い席で見ることができました。やはりチケ取りのスタートダッシュは肝心です。

前回はイトカワ本番着陸直前で終了。

今回は、イトカワへの第3回目の着陸。
この着陸から「はやぶさ」のジェットコースターのような試練が始まるわけです。

もちろんなにが起こったのかについては知識として知っているわけですけど、PMであった川口先生の言葉で話を聞くと、やっぱり違いますね。本当のコトが聞くことができている、と実感できます。やはり本物の言葉はチカラがあります。

ちなみに進行役は前回の松浦さんから今村さんに変更。
川口先生も松浦さんも話し出すと止まらない感じなので、今村さんのような立ち位置の方は必要だと思いました。

さて、以下は未来の自分のためのメモ。

話を聞いているときに印象に残ったことを手帳に書きとめているのだけど、第1回目と第2回目もいまさら読んでみると、これがまた面白い。多少面倒でもやっておきました。


・ロケットまつりは今回60回目で還暦。10年目!!


・川口先生はこれで3回目。私服(チェックのワイシャツ)で登場。
 最初はスーツで来た。初めてこの会場に来たときは「なんて会場だ」と思ったとのこと。


・イトカワ第3回目の着陸成功の記者会見の後、はやぶさは姿勢制御を失っていた。
 松浦氏いわく「会見後にちょっと変な雰囲気があった」
 川口先生いわく「顔が笑ってなかったでしょ?」


・着陸のノウハウについて。第2回までは全く上手くいかず暗澹たる気持ちでいた。NECの白川氏のアイデアで画像から人の手を介在させて場所を読みとる方法を編み出した。白川氏は一晩でプログラムを作成。松浦氏「良い意味でのハッカー気質」川口先生は「ウィザードだね」とのこと。


ウィザードって魔法使いだよね?ってくらいしか知らなかったので調べてみたら、「ウィザード」とはコンピュータシステムに関わる高い問題解決能力を有する人のことだってね。



・はやぶさの姿勢がグラグラしていることはわかっていたが、当時は原因不明。いろいろと議論した。ドップラーによる観測で遠くに離れることはわかっていたが、内部では温度が低いデータと高いデータがあって、議論がわかれていた。ちなみに温度が高いのはあるセンサーがおかしかったためと判明。


・結果的にはヒドラジンが洩れていて噴出していたことで姿勢制御を失っていたことがわかった。ヒドラジンは酸化剤と混ざると燃えるがヒドラジンが洩れることで機体が冷えていたらしい。


・ちなみに無重力状態であれば、小石ひとつがあたってもコロッと姿勢制御を失う。化学推進(ヒドラジンと酸化剤による推進)が生きていれば特に問題はないのであるが。


・これはリエントリー後にわかったことだが、はやぶさのカプセルの内部にヒドラジンと高分子(ポリイミド)が反応してできた痕跡が付着していたとのことで、ヒドラジンが洩れていたことが証明された。


・原因はラッチングバルブ(電磁弁)。なぜ洩れたか?については不明であるが、第1回目の着陸の時点で何かが起こっていたと推測される。
ちなみに私はバルブ系の開発設計が本職なんで、不具合の話を聞いていると宇宙系とは全く関係ないのに胃がキリキリ。コンタミとか摺動不良とか弁ロックとかFTAとかプライベートでも聞くのが嫌。ちなみにこのあたりメモを取ってない。けど覚えてる。さらにちなみに原発系のバルブ不具合も聞いててクラクラした。やはり弁は難しいよねぇ。だからこそ、ご飯が食べられるとは思うんだけど。


・ヒドラジンの配管はA系、B系と予備含めて2本あったが平行に走っていたため、洩れからの冷え込みを受けて被害を受けていない配管も影響を受けてしまった。はやぶさ2では対策されている。


・なぜ洩れに対する対策がなかったの?との問いに「ヒドラジンが洩れたら、ふつうだったら探査機は死んだも同じ」確かに。それを受けて今村氏が「はやぶさは何度も蘇るゾンビですね」


・今村氏が、はやぶさは毎回なにかオオッと思わせてホッとさせるようなことを繰り返した。小説なら出来過ぎでやり過ぎ。私もなんとも劇的な探査機だと思う。


・洩れの原因は2回目の30分間不時着着陸して地面に炙られら影響?との問いには「そんなに温度の高いところに着陸していないので、さほど炙られていないと思う。だが、影響はあると思うが、1回目の着陸後にも応答性の不十分なバルブがあった。もしかしたら1回目の着陸に何かがあったかもしれないが、はっきりとはわからない。ただ電磁弁の2次側からコンタミが入ったとは考えられない。なぜなら数mmの絞りがあるから」とのこと。


・酸化剤も同時に洩れていたら火が出る。そうであればすべて終わっていた。


・化学推進は駄目。イオンエンジンも姿勢制御はできないということで、キセノンを吹き始める。最初は悪戦苦闘。一晩吹いてやっと姿勢が変わったのがわかるレベル。


・苦労して姿勢制御を進め、交信を始めたところ第3回目の本番着陸の際にサンプラーから弾丸発射の情報がなかったということがわかった。交信途絶し消息不明になる直前の一日だったため、わからなかったら幸せだったのに。なぜ黙っていてくれなかったのか?と言ったところ「この件は墓の中まで持っていけません」と言われとのこと。


・弾丸発射していない件と交信途絶、それに地球帰還延期について記者会見をおこなったときに、弾丸発射せず、ということをもっとも重要なことなので「最初にズバっと」言いたかったがいろいろあって、不本意な発表となった。弾丸発射せず(着陸失敗)を本文中の真ん中くらいで発表した。紙面で配っていたため発表途中に会見場を出ていく記者がいてつらかった。


・交信途絶は結局7週間掛かったが、最初は数日で見つかると思ってた。本当に見つかると思っていたか?という問いには「自信はないが、可能性はある」とのこと。良い言葉だ。


・見つかる可能性は計算上60%あったが、簡単には見つからないと思っていたため時間がある。そのため電源復旧後の手順などをを検討した。もともとプログラム入れていなかったのか?との問いに「ふつう電源落ちたら終わり」とのこと。確かに。ちなみにイカロスは太陽の向きによって、電源が落ちるのがわかっていたため、電源復旧後の手順はプログラムにいれられている。



・無事発見したあとは1bit通信で復旧をおこなった。アンテナをローゲインにして、スピンが速かったため、スピンダウンが最初の作業。通らない指令を1bit通信で通していった。


・1bit通信はのぞみ復旧のころからのノウハウ。高度な1bit通信(送信側の質問の仕方がうまくなってきた)ができるようになり、これもイカロスにも生かされている。


・このタイミングでM5の話。M5ははやぶさを最適な打ち上げをしている。ポイントはマッチングされたキックモーター。


・イプシロンは固体ロケットとしてあまり美しくない。固体ロケットはシンプルが大事。第3弾が姿勢制御していることは疑問。


・ただコストダウン意識と初回成功は非常に良かった。


・最初の打ち上げ中止はなぜニュースになるかがわからないくらい。


・打ち上げのときにチェックしたのか?という報道があったが、初回開発はチェックシートを作るのが非常に大事な作業。打ち上げ中止できたことは良いこと。ロケットは上がらなければ安全。


・ロケットは静々とあがっていくのは性能が悪い。ドカンといきなり上がるのが理想。


・ちなみに今村氏曰く、森田先生はM5ラブ。M5の分身だと思ってる。自分の分身ではなくM5の分身。


・ここではやぶさに話題が戻る。交信復旧からの1年間はリハビリにに専念。


・はやぶさ内に残っている可能性のあるガスを排出するため、スピンを上げてベーキングをおこなった。スピンを上げることで、ガスが噴出しても耐えられるようにするため。ベーキング温度は、最高使用温度のMAXでおこなった(近日点付近)またベーキング温度よりもはやぶさの温度があがらないような運用をおこなった。



・リハビリ中にバッテリーの充電をおこなった。リチウムイオン電池の11列直列の4個が壊れていて、7個で充電した。理由はわからないが、過充電にならなかった。1~2カ月かけてゆっくりと充電。地球帰還まで時間は充分にあったため。


・カプセルの蓋閉めは大きなチャレンジで、閉まって良かった。嬉しかった。閉まらないと地球帰還という大きな目的が崩れてしまう閉まらないと耐熱シールドがモタナイ?ため、カプセルを地球帰還させることができない。


・真空だと固着という問題があるため、可動部には神経を使う。サンプラーホーンは打ち上げ直後にスグに伸ばした。摺動部の固体潤滑は二硫化モリブデンを使用。


・イオンエンジンは回転しながら推力がでるから、ジンバルが必要。なるほど!!


・イトカワにいる時間が短かった(3か月)ので大変であった。なにかしらトラブルがある。もうちょっと早く到着予定であったが、太陽フレアの影響で遅れた。


・はやぶさ2では、これを教訓に1年半いる。充分に練習して成功してほしい。


・相模原のJAXAにあるキュレーションセンターは2005年に予算が認められた。着陸できない可能性のあるなかで作れたため、2階、3階は事務所。ちゃんと着陸して無駄にしなくて良かった。またキュレーションセンターは分析のトレーニングにもなった。


・はやぶさ2は名前を変えるべき。また打ち上がったあとに名前が付くのに今回はプロジェクトネームにはやぶさ2の名前が入っている。今村氏いわく「はやぶさはキャラが立ち過ぎている」ちなみにJAXA内でははやぶさ2のことを「はやつー」と呼んでいる。


・ミネルバは民間投資前提でオプションのペイロード。成功の是非は問わないプロジェクトであった。お金はないが、思い切ったことができる。はやぶさ2でもミネルバ2として搭載予定。


・はやぶさは宇宙研最後の探査機。JAXAでは管理が厳しく、なかなか思い切ったことが出来なくなっている。


ここであと5分ほどとなり質問タイム。
・的場先生が「交信途絶からの復帰の可能性は6割じゃなくて3割といっていたが?」
→そんなことはない。勘違いでは?


・帰還したカプセルにははやぶさの欠片は入っていた?
→高分子とヒドラジンの化合物が付いていたから、それがはやぶさと言えば、はやぶさだった。JAXA内にちゃんとある。



・オシリス・レックス(アメリカの小惑星探査機)について感想を?
→2番煎じ、3番煎じというか・・・。ただはやぶさ2よりも帰還が遅いということもあり、アメリカがそこまで小さな小惑星が重要であるということを認識したことは非常に嬉しい。試料交換の契約?も取り交わしているとのこと。



今回はイオンエンジンの2個イチ運転の直前で終了。地球帰還は遠い。
6時半から10時まで。川口先生をはじめ、登壇の皆さま、お疲れ様でした。


第4回がいつになるかわかりませんが、期待して待ちます。


そのころにコレを読み返すのが楽しみ。
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